山谷
2007年04月19日
日本財団のブログを見て興味を持ち、山谷にあるホスピス「きぼうのいえ」を尋ねました。
初めて行く山谷という地域。少し緊張しながら車を降りましたが、山本雅基施設長ご夫妻はじめ職員の方々に笑顔で迎えて頂きホッと力が抜けました。
まずは4階まで行き、そこからさらに屋上へ。屋上に建てられた礼拝堂に案内されました。2002年に開設されてから約4年半の間に48人の方がここで息を引き取られたそうです。礼拝堂の中には亡くなられた方々のお写真と、まだ納骨されていないいくつもの遺骨が安置されていました。
数日前に他界された方の部屋も見せて頂きました。ここで亡くなる方は皆さん安らかに神様に召されて行くそうです。
食堂ではコーヒーをご馳走になりながら、入居者のお二人からお話を伺うことができました。お二人とも目が見えません。それだけでも「きぼうのいえ」に入るまでどんなに苦労されてこられたか・・・。
やっちゃん、88歳は戦後10年間シベリアに抑留されていたそうです。東京タワーを作った鳶のひとり。その後溶接の仕事から失明。希望を失い何度か自殺を試みるものの死ねなかったとか・・・。
柴田さんはとてもユニーク。デニムの上下でおしゃれな格好をし、髪の毛を伸ばしているところだそうです。「施設長は調教師。暴れ馬ばっかりで大変だ。そろそろサラブレッドになろうかな〜・・・・」と話されていました。赤ちゃんの頃は犬のおっぱいを飲み、靴磨きから理容師になり、刑務所で受刑者の髪を切っていたそうです。
波乱万丈、苦労の多かった人生の最後に孤独の中から救われて「きぼうのいえに」入ることができた人たち。愛情に包まれてここから幸せに旅立っていくことができるのでしょう。
とても暖かい家族的な雰囲気と、お二人の壮絶な人生のお話に感動して、「きぼうのいえ」を後にしました。
山本施設長はじめ皆さん働いておられる方々は穏やかそうに見えましたが、日々のご苦労は大変なものだと思います。
わずかな時間の訪問では、何もわからないかもしれませんが、実際に自分の目で見てお話を伺いたい・・・これからも色々な所を尋ねてみたいと思います。
足りないところを補い合って生きていくのが人間社会なのだと改めて感じる日々です。
この記事は2007/04/19に公開され2024/02/28に更新、3 ビュー読まれました。